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ガバナンス報告とCSRの考え方

CSRの考え方

トップメッセージ

代表執行役 執行役社長 丸山 寿

「10年後のありたい姿」に向け、高付加価値の技術や製品で社会
やお客さまの課題の解決を

「2018中期経営計画」最終年度はさらにスピードアップ
「2018中期経営計画」(2016年度〜2018年度)は、「10年後のありたい姿」(2025年)からバックキャスティングし、今、何をすべきかを考えた上で3年先の到達点を設定するという方法で策定しました。日立化成の「10年後のありたい姿」とは、「高機能材料を基軸にデバイスやシステム/サービスまでグローバルに事業を展開する化学を超えたイノベーション・プロバイダー企業」です。「化学」の領域を超えて、BtoBだけにこだわらず、BtoCにも可能性を拡げることで、将来的に売上収益を1兆円規模に拡大させ、営業利益率14%以上をめざすという目標を打ち出しています。この「10年後のありたい姿」を実現することができれば、日立化成は化学分野のグローバル企業に伍することも夢ではないと考えています。

これまで日立化成は、「材料技術」「評価技術」「プロセス技術」という3つの基盤技術をコアコンピタンスとしながら、お客さまに寄り添い、そのニーズをつかみ、ソリューションを提供することで成長してきました。しかし、市場環境が大きく変化する中で、それだけでは「10年後のありたい姿」を実現することは難しいと考え、お客様の真のニーズを見出す力やビジネスをデザインする力といったビジネス構想力を高める新しい事業アプローチに取り組んでいます。

「10年後のありたい姿」からバックキャスティングした2018中期経営計画では、「ニッチ&クラスター戦略」、即ち規模は小さくとも利益率や成長率が高く、業績への貢献が期待できる「ニッチ」な事業と、いくつかの製品群をグループ化することで総合力を発揮して、グローバルで勝つための戦略を共有できる「クラスター」事業への変革によるグローバルトップシェア事業の拡大や、外部リソースを活用した「協創」による事業化加速、外部からの技術や事業基盤の獲得による成長加速といったオープンイノベーションの推進に取り組んでいます。

着実に成長してきた事業をさらに大きくする1年に
2017年度は、自動車部材や蓄電システム、ライフサイエンスの分野で、これまで注力してきたM&Aの取り組みが実を結び、事業規模を拡大することができた年でした。その結果、売上収益が前年度から一気に1,000億円以上拡大し、史上最高となる6,692億円(前年比20.8%増)まで拡大しました。M&Aによる「非連続」部分を除いても増収を果たし、着実な成長が見られた1年でした。

しかし、2018年度への課題も残りました。この2年間で、売上収益を伸ばす体制は構築できましたが、2017年度の売上収益営業利益率は6.9%であり、計画どおりに推移していません。これは、原材料価格の高騰を適切に製品価格に転嫁させることができなかったこと、スマートフォンの需要急減や新たに連結子会社化したグループ会社とのシナジー効果創出遅延などにより、期末に至り利益の伸びが急減速したためです。売上収益が伸びたということは、利益を拡大するベースができたということですから、売上収益の増加に見合った利益拡大を図ることが、2018年度の課題です。新たに連結子会社化したグループ会社では、PMIを推進しシナジー効果の早期創出につなげていくとともに、既存事業に関しても成長分野への投資を積極的に行うなど、さらに骨太な成長を実現していく方針です。また、原材料価格の変動に左右されにくい収益構造の確立にも取り組んでいきます。

こうした施策を通じて、2018中期経営計画の最終年度目標である売上収益のCAGR7〜8%は達成見込みである一方、営業利益率は、当初の目標値である11%は達成が 難しいものの、8.3%に回復する見通しです。

10年後のありたい姿に向け、4つの事業のさらなる成長を
2017年度の各事業の動向ですが、機能材料事業では、半導体材料の市況が好調であり、クラスター戦略が功を奏しました。また、ニッチ製品の中でCMPスラリーがデファクト化、即ち、業界の標準品としての評価が定着したことで受注が拡大し、利益を上げることができました。また、半導体パッケージ領域においても、当社の製品が大口顧客のデファクト品として指定された事例も出始めています。さらに、車載用の市場で世界トップクラスのシェアを誇るリチウムイオン電池用のカーボン負極材も、大幅に伸長しました。

自動車部材事業では、軽量化と強度を両立させた、当社グループ独自の樹脂発泡成形技術を用いた自動車用外装成形品や、2021年から米国で始まる銅含有率の規制に適合した環境配慮型のブレーキパッドなどの高付加価値製品の拡販が、収益向上につながっています。今後はよりいっそうの環境対応を進めるとともに、自動運転、自動車の電装化などに対応するプロジェクトをグループ一体となって進めていきます。また、昨年買収した、自動車・航空機・産業用途の断熱部品の開発・製造・営業を行うドイツのISOLITE社を新たな事業拠点として、欧州の自動車メーカーへの拡販強化を進めていきます。

蓄電システム事業では、昨年度は原材料である鉛の価格上昇の影響を受けましたが、同時に、鉛価格に影響されにくい事業基盤の構築を進めることができました。2016年度に自動車・産業用鉛蓄電池事業を営むイタリアのFET社が、また2017年度には同じくタイのTSB社がそれぞれ当社グループに加わったことにより、これまで日本中心であった電池事業を、グローバルに展開できる体制が整いました。2018年度は、TSB社の3Kブランドと日立化成ブランドを生かした製品ラインアップを強化し、利益力を強化しながら、この分野の事業をさらに拡大できると考えています。

最後に、ライフサイエンス事業は、将来への先行投資を行いながら、より大きな事業規模に育てるという方針のもと、着実に成果を上げています。2017年5月に米国のPCT社(現HCATS社)を買収し、再生医療等製品の製造受託事業に進出しました。現在、サンバイオ(株)や第一三共(株)などから大型の受注案件が入り始めています。この分野は競合が少なく、今後大きな成長が期待できる、非常に有望な事業になると期待しています。また診断薬の分野についても、幅広い製品ラインアップを強みにしている協和メデックス(株)を、2018年1月に子会社化しました。当社グループの米国・欧州・東南アジアなどの販売網を活用した海外展開強化および協和メデックス(株)の国内販売網を活用した日立化成の診断薬の販売促進など、大きなシナジー効果を見込んでいます。

中長期的な成長を見据えた財務戦略の強化を

成長と利益率の向上を見込んだ積極的な財務戦略を
設備投資に関しては、2018年度は600億円規模を計画しています。当社の2000年代の投資額が年300億円程度だったことを考えると、近年の積極的な投資姿勢がご理解いただけると思います。日立化成の資本コストは6〜7%と認識していますが、歴史的な低金利が続いている昨今においては、事業を成長させていくための戦略的な資金調達も必要であるとの考えのもと、2017年度に200億円の社債を発行しました。その結果、親会社株主持分比率が57%となりました。2018年度は、設備投資の中でも「能力増強」と「合理化」を重点方針とし、強みを有する製品を増産するための新工場の建設を計画しています。

また、日立化成は、投下資本効率の観点から、ROICを重視した経営を進めています。資本を効率よく利益に結び付けるために、グループ全体でこの指標を管理しながら、資産の回転率や資産処分の必要性にもよりいっそう目を向けていきます。

配当政策については、安定配当を基本とし、配当性向は30%程度を目安としています。最近は、大口の機関投資家の姿勢も変わりつつあり、「自社株買いより、中長期的な成長戦略に資金を投じてほしい」というご要望が増えています。経営者として、その期待に応えられるような大きなシナリオをしっかりと描いていきたいと考えていますし、また、成長戦略の方向性についても投資家の皆さまとさまざまな議論をしていきたいと考えています。

グループ一体でESG経営を推進

事業そのもので環境や社会に貢献
事業とESGが別次元で動いているのでは全く意味がありません。日立化成が行っている事業そのものが、「環境に役立つ」「社会に貢献する」ものでなければならないという考えを基に、日立化成では「サステナブルエンジニアリング」を展開してきました。この考えをベースに、従業員一人ひとりが社会に貢献しているのだという自覚や自負、喜びを見出せるようになれば、それこそが働き方改革の究極の形ではないかと考えています。

日立化成は、生産現場はもちろん間接業務にもAIやロボットを導入し、ビジネスプロセスを最適化することで仕事の総量を減らすなど、生産の合理化を進めています。今後は海外にも展開することにより、グローバルでの生産性向上を図っていく方針です。すでに、日本国内では在宅勤務やテレワークなどの制度は整っていますが、制度をより使いやすくするために改善の余地があります。そのため、仕事の総量を合理的に減らすと同時に、各従業員の役割分担を明確にし、かつやりがいを感じられるアサインメント方法を導入していく所存です。これを実現するためには、引き続き「対話と挑戦の文化を作ろう」をモットーに、グローバルコーチング・プログラムなどを通じて上司・部下とのコミュニケーションをよりいっそう活発化させて、挑戦できる職場環境を整えていこうと考えています。また、45歳未満の女性管理職の比率を12%に引き上げるという2018中期経営計画の目標に向けて、管理職としての資質を備えている従業員に具体的な教育方法などの道筋を提示し、継続したフォロー体制を構築していく方針です。

カーボンマネジメントを経営管理に活用
CO2排出量の削減策の一つとして、カーボンマネジメントを活用しています。この手法は、金額換算したCO2排出量を利益から差し引いて社内管理に利用するものであり、各事業でのCO2削減に対する意識醸成に役立っています。2017年度は、省エネ投資をはじめとする意思決定にこの手法を活用することにより、2018中期経営計画で掲げているCO2排出量の目標達成につなげました。また、従来日本だけで展開していたカーボンマネジメントを2017年度に中国へ適用しましたが、2018年度は、このマネジメント手法を中国以外の海外グループ会社にも展開する計画です。今後は、日立グループ全体の環境長期目標およびSDGsの達成に向け、当社のサステナブルエンジニアリングを最大限に生かした、バリューチェーン全体でのCO2削減に向けた取り組みをよりいっそう強化していきます。

健全な経営に向けた取締役と執行役の活発な意見交換
日立化成は、監督と執行の分離をガバナンスの基本スタンスとし、取締役会が監督機能を果たしています。また、日立化成の特徴的な取り組みは、監査委員会に所属する社外取締役が海外を含めたグループ会社の監査に順次出向き、取締役会にフィードバックしていることです。

私見ですが、日立化成の取締役会ほど活発な取締役会はないのではないかと思うほど、積極的な意見交換を行っています。月次の取締役会では、執行役が各部門の業務状況を報告し、取締役が助言します。加えて、経営の基本方針、次期の中期経営計画などについて、取締役と執行役が話し合うオフサイトミーティングを開催するなど、健全な経営のための意見のキャッチボールを密に行っています。

さらに、後継者育成計画の監督も取締役会の役割の一つとなっています。指名委員会からの助言に基づき、社長人財の要件や候補人財の育成方針の議論などを行い、次の経営リーダー育成にも取締役に深く関わっていただいています。現在、執行役候補層および社長候補層を各々ノミネートしていますが、社外経営者との議論や研修などを通じて、単なる経営論だけでない、経営者としての人間的な厚みや幅、教養や素養を培うための教育を進めています。

グループガバナンスの強化
先般ご報告のとおり、当社名張事業所(三重県名張市)において生産している産業用鉛蓄電池の一部製品について、お客さまに提出する検査成績書に不適切な数値の記載を行っていたなどの事実が判明しました。

お客さまをはじめ関係者の皆さまに多大なるご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。

当社グループでは、外部の専門家などから構成される特別調査委員会を設置し、その原因と背景を把握するため徹底した調査を進めております。本調査報告書の受領後に、具体的な課題の把握および再発防止策などを講じた上で、詳細な内容を改めてご報告いたします。さらに、当社グループの品質管理体制の抜本的な見直しとコンプライアンスのいっそうの強化を図ることで信頼回復に全力で取り組んでまいります。

当社グループのコンデンサ事業に関する過去のカルテル行為については、2014年以降、調査に全面的に協力し、これまでに約116億円の制裁金や損害賠償金が科されました。2010年以前に発生した事案ではありますが、ほんの数人の過ちが莫大な損失につながることを肝に銘じ、グループ全体で再発防止策を確立しました。

M&Aなどの実施により多くの仲間が日立化成グループに加わり、日立化成の連結従業員数は2万人を超えました。労働安全、そしてコンプライアンスは経営の要です。労働安全とコンプライアンスがすべてに優先することを、会議やさまざまなメッセージを発信する中で全従業員に地道に伝えていきます。新しく仲間に加わったグループ会社も含めて、日立化成のルールをグループ全体に浸透させ、さらにガバナンスを強化していきます。

将来の社会課題に対応できる事業の展開を
10年戦略では、SDGsを念頭におきながら、社会の課題に応える事業を推進し、長期的に企業価値を向上させることをめざしています。その意識の浸透を図るため、四半期ごとのグループ環境・CSR会議では、製品サービスで環境課題の解決に貢献するサステナブルエンジニアリングの実績などを確認しています。その中で、長期的な成長のためのマテリアリティという考え方も徐々に社内で浸透してきていると実感しています。今後、マテリアリティ分析を通じ、日立化成の事業と社会課題との関連性をしっかりと整理した上で、解決すべき社会課題に対する日立化成の姿勢を2021中期経営計画に反映させると同時に、全従業員に社会に貢献している実感を持ってもらいたいと考えています。

挑戦の風土の醸成を
私たち日立化成は、「Working On Wonders」のスローガンのもと、ステークホルダーの皆さまへ新たな価値を提供するために、日々挑戦を続けています。当社では、未来への挑戦の風土づくりに向けて、毎年WOWグローバルアワードを開催しています。これは、創立50周年を機に開始したWOW-BB活動の一環で、今年も世界の日立化成グループ各社から900件を超えるテーマが登録され、さまざまな挑戦が繰り広げられました。参加の条件は、日立化成の5つの挑戦のいずれかに該当する取り組みであることと、有言実行であることです。今後も「対話と挑戦の文化」をさらに深め、お客さまや社会の期待を超える「驚き」を実現していきます。

これからも時代に求められる存在であり続ける
当社は、この30年で売上収益が3倍以上となり、利益率も格段に向上しました。これは、その時代の伸び筋市場に事業の軸足をおき、我々が得意とする材料技術を生かして成長してきた証と考えています。そして今、自動車の自動運転技術やEV関連技術の進化、IT通信技術の高度化などにおいても日立化成の材料が必要とされており、我々にとって強い追い風になっています。

これからも市場トレンドをしっかりと捉え、基盤技術を駆使した新製品、新事業の創生に取り組んでいきます。そのためにも、ステークホルダーの皆さまと成長のための有意義な議論をさせていただき、我々が向かっている方向やポリシーをご理解いただくとともに、ご助言やご意見をいただければ幸いです。

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