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ガバナンス報告とCSRの考え方

CSRの考え方

トップメッセージ

化学を超えたイノベーション・プロバイダー企業へ

「10年後のありたい姿」へ向けた「10年戦略」

この度、執行役社長の大役を拝命しました。先人たちが築いてきた礎の上に、新たな成長を積み上げるため、誠心誠意、社業の発展に努めていきます。

2015年度、当社では議論を重ねて「10年後のありたい姿」を描き、その実現のための「10年戦略」を策定しました。

 「10年後のありたい姿」としては、コアコンピタンスである多彩な基盤技術、すなわち材料技術、プロセス技術、評価技術をベースに、デバイス、システムからサービスに至るまでグローバルに事業を展開する、化学を超えたイノベーション・プロバイダー企業になることを掲げました。また、14%超の営業利益率を安定して創出する企業に成長させることを目標としています。

 「10年戦略」の策定にあたっては、どの分野で事業を展開するかというプレーイングフィールドの設定から改めて取り組みました。「農業」「社会インフラ」など、我々の現在の事業領域から離れた産業を含めて、マクロな視点から中長期的な環境変化や市場動向を分析し、将来においてより多くの製品・サービスが求められる分野を探りました。そこから見えてきた「QOL(クオリティオブライフ)向上」「サステナブル環境実現」を、これから日立化成グループが事業活動を通じて実現していく「価値」と定めました。そして、機能材料、自動車部材、蓄電システム、ライフサイエンスを当社の重点注力事業とし、前中期経営計画の省察に基づき、これまでとは違ったアプローチで事業を変革していくことを強く打ち出しています。事業環境のボーダレス化が進むなかで、差別化された材料をベストプロダクトとして提供するだけでなく、新たな事業を構想する力(ビジネスデザイン)を強化し、従来の延長線上にない成長を実現していきたいと考えています。

こうした「10年戦略」を実行するに際して、3年後の到達点を示した「2018中期経営計画」を策定しました。今回の中期経営計画の特徴は、上意下達ではなく、従業員の主体性を重視している点にあります。短期的な目標にとらわれず、着実に「10年後のありたい姿」へと向かっていくために、ワークショップなどを通じて、従業員一人ひとりに中期経営計画のコンセプトを徹底的に理解させ、自分の業務への落とし込みを行っています。

「不断のイノベーション」へ向けて多彩なリソースを活用します

ステークホルダーとの協創を推進
世界的に経済の安定成長を見込むことが困難ななかで、企業が成長を続けるためにはイノベーションの創出が必須になっています。技術が高度化し、ライフサイクルもどんどん短くなる昨今、真のイノベーションを成し遂げるには、自分たちの頭の中だけでなく、外部のリソースを取り入れ、斬新な発想の下で他社に先駆けた新事業を生み出していかなければなりません。

日立化成は、「2018中期経営計画」の重点戦略の一つに「オープン・イノベーション」を掲げています。2016年4月にはイノベーション推進本部を設置し、将来の非連続成長に必要な基盤技術開発をめざして、さまざまな取り組みを行っています。次世代の半導体実装技術開発にお客さまや装置メーカーの皆さまと一緒に取り組むために、2014年度に開設した「オープン・ラボ」もその一環です。

この活動を通じて、これからの実装材料をリードするテーマ、あるいは実装技術に関するソリューションを見出す場を構築しています。すでに「これまで1年かかっていた材料の認定が2カ月で完了した」といった直接的な効果も出ていますし、装置メーカーからも最新の設備を無償で提供したいという申し出を受けるなど、大いに手ごたえを感じています。

その他、「不断のイノベーション」を創出する手法として、米国のベンチャーキャピタルとの連携も進めています。役員クラスの人財をリーダーとした技術探索チームを米国に派遣し、収集した膨大な情報から、日立化成にとって将来パートナーとなり得る企業や価値のある技術を発掘し、ライセンスの取得や共同開発、M&Aなどを推進しています。これまでのような過度な自前主義を脱し、最先端技術をスピーディーに取り込み、新事業・新製品の創出につなげていきたいと考えています。

さらに日立化成は、経営基盤の強化と新事業・新製品の立ち上げを促進させるためにグループ再編にも取り組んでいます。2015年度には蓄電デバイス・システムと合成樹脂製品を生産していた新神戸電機を当社に統合しました。蓄電デバイスなどに特化した新神戸電機とさまざまな部材の評価技術を持つ日立化成が一体となったことで、製品開発のスピードが上がり、これまでにない優れた耐久性、充電受入性能を実現したISS (Idling Stop System)車用次世代バッテリーの新モデルを2016年6月に発売することができました。ISS車は海外でも市場が拡大しており、当社のポジションをさらに高める新製品として期待しています。

大型M&Aを含めた積極投資による成長も加速させます

効率的な投資を積極的に展開
M&Aをはじめとする投資については、ROIC(投下資本利益率)などを指標に用い、効率的に進めていきます。当社では現在、事業分野ごとに「競合他社平均のROICをベンチマークとして投資計画を機動的に変更する」というルールを実行しています。この結果、2015年度は、当初440億円を目標に掲げましたが、実績としては300億円台にとどまりました。今後は、グループの成長を加速させるため、強みのさらなる強化や弱みの補完などの視点から「会社を買う」「技術を買う」といった投資をこれまで以上に積極的に行っていきます。「2018中期経営計画」では、新規事業分野も含めて、1,000億円規模の大型M&A案件も視野に入れ、非連続成長をめざすとともに、既存事業においても成長分野への設備投資を強化します。

「基本と正道」の徹底のため透明で公正な経営を実現させます

「基本と正道」を徹底させるために
当社は、2015年度に「経営の基本方針」について、取締役会で改めて議論を重ね、見直しました。ここでは、あらゆるステークホルダーに対して価値を創造する経営を実践し、責任を果たすことを宣言しています。

2016年3月、当社グループの日立エーアイシー株式会社が、過年度におけるアルミ電解コンデンサの取引に関して独占禁止法に反する行為を行っていた事実が公正取引委員会により確認されました。また、4月には米国の司法省との間で、罰金の支払いなどを内容とする司法取引に合意いたしました。ステークホルダーの皆さまに、ご心配とご迷惑をお掛けしましたことをお詫び申し上げます。今後、このような重大な法令違反を発生させることがないよう、グループを挙げて再発防止策の徹底とコンプライアンス体制の強化に努めてまいります。

私は透明さが公正な経営につながると考えています。常に変化しているグローバル社会の中でビジネスを進めていく上で、法令のみならず企業倫理を守ることは、企業活動の最低条件ととらえています。グループマネジメントとして、「経営の基本方針」に基づいた日立化成のさまざまなルールを日立化成グループ全体に浸透させ、さらにグループガバナンスを強化していきます。

親会社との相互に良好な関係
 「経営の基本方針」には、株主・投資家の皆さまから質問を受けることの多い、親会社、日立製作所との関係についても定めています。一方、少数株主や外国人株主などの平等性を確保することも大きな課題となるので、この点についても十分に配慮しています。親会社との関係について聞かれたとき、私はいつも「非常にコンフォタブルな関係です」と答えています。なぜなら我々は日立グループの優れた研究開発リソースなどの経営資源を利用することができ、しかもそこから生まれた成果は、当社の寄与度に応じて自由に活用することができるからです。さらに「日立」ブランドは、特に海外でのビジネスを進める場面では、力強く後押ししてくれる非常に重要な武器になっています。

原理原則を重視する経営で持続的な成長をめざします

日立化成グループの新たな歴史へ
 「10年戦略」を基にした日立化成グループの持続的な成長を実現するために、原理原則を重視した、論理的な思考に徹した経営が求められます。その経営判断が「十分な情報量に基づいており、世間の常識に照らして、合理的である」と誰もが理解できる論理性を備えているかを常に問い続けています。

ESG(環境・社会・ガバナンス)の課題へ適切に取り組むことも重要です。当社は従来、ESGについての目標達成状況を毎年4月に開催する「グループ環境・CSR会議」において確認してきましたが、2016年度からは、新たなステップとして、一部の目標については「2018中期経営計画」の中で事業活動の目標とともに管理していくことにしました。他社でもまだあまり例がないアプローチで難題も多くありますが、何とか軌道に乗せたいと思っています。

また、グローバル企業としての成長のためには、「グローバル経営インフラ」の確立も必要です。当社は、すでにグループ会社の70%以上が日本以外の会社で、全従業員約19,000人のうち約10,000人が日本以外の国籍です。こうしたなか、グローバルベースでの本社機能や体制の整備・確立が課題になっており、議論を進めています。

グローバル化のなかで重要性が高まるのがコミュニケーションの活性化です。国籍や性別などにとらわれることがないダイバーシティ経営を推進することは、進化の根源であり企業の競争力強化に欠かすことのできない戦略です。私は、その実現のためにはコミュニケーションの強化が不可欠だと考えています。これからは、対話や情報発信の数を求める段階から質を大切にする段階へと進化させ、日立化成グループの新たな発展の歴史を創り上げていきます。

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