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ガバナンス報告とCSRの考え方

CSRの考え方

トップメッセージ

代表執行役 執行役社長 丸山 寿

「10年後のありたい姿」に向け戦い方の変革をさらに前進させ
不断のイノベーションを創出する

創立50周年の議論からつながる2018中期経営計画
2018中期経営計画(2016年度〜 2018年度)は、先ず「10年後のありたい姿」を定め、そこからバックキャスティングするという方法で策定しました。この「10年後のありたい姿」は、日立化成のあるべき姿「日立化成グループ・ビジョン」を実現するために描いたもので、このビジョンは創立50周年の際の議論から生み出されました。次の50年で何をめざすのか、あらためて日立化成の未来に向けた想いをお話ししたいと思います。

創立50周年を迎えた2012年、この機会にグループ全従業員で50年後にめざす姿を共有しようと「コミュニケーション・ワークショップ」を実施しました。最初に執行役が全員で日立化成の過去・現在・未来について議論を重ねて「未来に向けたマネジメント・メッセージ」をまとめ、これを世界中の従業員と共有し、一人ひとりが自分なりに理解した上で、これからどのように行動すべきかをワークショップを通じて考えてもらいました。次の50年に向けて経営陣と全従業員が一体となって挑戦するための糧にしたいと考えたからです。

マネジメント・メッセージは、「『化学』を超えて事業領域を広げ、未来への価値を創造する」というものです。これからは「化学」という領域にあえてこだわる必要はない。でも、私たちのDNAである「材料」という分野にはこだわる。そこからシステム、サービスへ、あるいはB to BからB to Cへも事業領域を拡大させたいという想いを全員で共有することができたと思います。この議論を基に日立化成のあるべき姿として「日立化成グループ・ビジョン」を規定しました。

また、この過程で気づかされたのは、これまでの中期経営計画策定の方法では目先の業績目標が優先されてしまい、将来はこんな方向に進みたい、こんな存在でありたいなどの長期的な視点に立った計画をつくれないということです。しかし、50年はあまりに長すぎる。そこで、「10年後のありたい姿」とそこに至る道筋を示す「10年戦略」を議論し、それを踏まえて3年間の中期経営計画を策定することにしました。

「2018中期経営計画」がスタートして1年。将来どのようになりたいのかという「ありたい姿」を描き、その実現に向けた戦略を練るというプロセスは社内に浸透してきたと感じています。これからも「10年戦略」で描いた目標に向けて、3年毎に中期経営計画を見直し、マイルストーン管理をしていきます。

もう一つ、従来との違いは、私たちの事業活動が財務指標の達成だけではなく、社会課題の解決に役立っているということを、実現したい価値である「クオリティオブライフ(QOL)向上」「サステナブル環境実現」と結び付けて説明したことです。従業員一人ひとりの仕事が社会課題と結び付いているということ、言い換えれば、日立化成の事業活動が価値を創造して社会に貢献しているということを説明できる中期経営計画にしたかったという点です。

戦い方を変えて 見えてきたものがある

着実に成長への種まきができた1年間
日立化成の「10年後のありたい姿」は、「高機能材料を基軸にデバイス、システムからサービスまでグローバルに事業を展開する化学を超えたイノベーション・プロバイダー企業」です。14%を超える営業利益率を安定的に生み出す企業をめざしています。この第一段階である「2018中期経営計画」では、「ニッチ&クラスター戦略」によるグローバルトップシェア事業の育成、ステークホルダーとの協創による「オープンイノベーション」を中心とした事業化の加速、そしてそれを支える経営基盤の強化を重点戦略として掲げました。営業利益率のターゲットは11%です。外部のリソースを取り込むアライアンス、M&Aのほか成長分野への積極投資を行っています。

こうした施策が具体的にどのような効果を収めたかについての細かな分析はさらに進めていきますが、2018中期経営計画の初年度に当たる2016年度は、概ね所期の目標を達成することができたと思います。大幅な円高という逆風下ではありましたが、成長分野での事業拡大、継続的な原価低減、さらにはM&Aなどの施策が奏功し、決算は増収増益となりました。

多彩なリソースで不断のイノベーションによる躍進を
一方で、2016年度の最大の反省点は、新製品の立ち上げ遅れと一部のハイエンド製品の不振です。ここ数年、競争激化により、高い利益率を維持していたエレクトロニクス関連製品のコモディティ化が進む一方で、次代を担う新製品の投入が滞っています。この時期に社長を拝命した私のミッションは、この状況を打開し、日立化成を新しい成長軌道に乗せることです。

日立化成に限らず、企業が従来の延長線上では成長の絵が描きにくくなっているなか、今ほどイノベーションが求められている時代はありません。現在、当社では、お客さま、取引先、同業他社、研究機関など外部との協創によるオープンイノベーションを推進し、新しいビジネスモデルの構築に取り組んでいます。

具体的には、アライアンスやM&Aによる外部リソースの取り込みに加え、これらとは異なる切り口として、半導体実装材料事業における「オープン・ラボ戦略」が軌道に乗り始めました。これまでに多数のお客さまにオープン・ラボにご来場いただき、多くの次世代材料開発が進んでいるほか、新製品の認定期間を従来の3分の1にまで短縮できたという実例も出てきました。そこで、国内外のさまざまなパートナーがアクセスしやすい神奈川県川崎市(新川崎地区)への移転を決めました。規模を約3倍に拡大し、最先端の半導体実装装置を導入するなど設備を大幅に充実させます。2018年8月開設予定で、お客さまをはじめ業界各社との協創の場として、また機能材料事業の戦略的拠点として、重要な役割を果たすものと期待しています。

また、2017年1月には、お客さまやサプライヤー、装置メーカー、大学などの研究機関と新たなイノベーションテーマを探索し、実現方法を検討する場として「イノベーションセンタ」を東京駅近くに開設しました。連日予想を超える多くのお客さまにご来場いただき、すでに大手メーカーから具体的な開発テーマ案件が寄せられるなどビジネスとしての広がりも見え始めています。これらの取り組みを通じ、日立化成の従来の事業領域を超えた新規テーマを創出し、新事業の創出につなげていきたいと考えています。

将来を見据えた財務戦略で安定的な経営基盤を

安定経営に資する規模の拡大を
環境の変化に左右されない安定的な事業基盤を構築するためには、早期に売上収益を7,000億円規模にまで拡大させる必要があると考えています。2桁台の営業利益率を安定的に生み出すことも必要です。その達成に向け、現在の健全な財務基盤を活用して積極的な財務戦略を展開していきます。

「2018中期経営計画」では、成長事業分野を中心とした積極的な設備投資に加え、1,000億円規模の大型案件も視野に入れてアライアンスやM&Aを実行する方針を立てています。日立化成は、2016年度にM&Aで複数の事業を獲得しました。現在も交渉中の案件が走っています。今後も成長につながる案件を見極め、積極的に新しいビジネスを獲得していきます。

設備投資では、2016年度に399億円を投入しました。2017年度は、オープン・ラボの移転、新規に連結子会社化したグループ会社とのシナジー創出、再生医療用細胞の受託製造施設の建設、間接業務の働き方改革(IT投資など)を中心に600億円と、大幅な増額を予定しています。もちろん、これらの投資を事業の成長に結び付けなくては意味がありませんが、日立化成の株価の推移を見ると、この1年のM&A展開などにより、株式市場にも日立化成の本気度が伝わったのではないかと感じています。

資金の効率的な活用は経営者としての重要な責務です。その判断基準としてROICに着目しています。ROICは投下資本をいかに効率よく利益に結びつけたかを示す、ごまかしのきかない指標と考えています。業界平均のROICや資本コストを下回る案件には基本的に投資はしません。

資本市場からの資金調達については、当面は内部留保で賄うことを基本としますが、積極的な事業の成長を図るため、マイナス金利の継続が予測される現在の金融環境を考慮のうえ、資本市場からの資金調達も選択肢の一つとして検討する必要があると考えています。

また、株主の皆さまへの利益還元については、配当性向30%程度を目安とした安定配当を基本方針としています。2016年度は年間配当金を前年度から5円増配し、55円としました。2017年度の年間配当金は、さらに5円増配の60円を視野に入れています。

なお、2015年度に発表した「日立化成コーポレートガバナンス・ガイドライン」に基づき、政策保有株式については、企業価値の向上に寄与しないものは保有しないとの基本スタンスを定めています。これに合致しないものは2016年度中に売却しました。

ESG経営は企業価値向上を実現する戦略

社会課題に取り組む「攻め」のESG経営
ESG経営というと、以前は社会的要請に対応する「守り」の側面が強い印象でした。しかし、昨今企業価値の向上につながる「攻め」へと、社会の認識が大きく変化しています。そのなかで、日立化成は、ステークホルダーと事業運営の両軸の視点で課題を認識するマテリアリティ分析を行い、攻めと守りの両面からESG経営を行っています。「2018中期経営計画」では、CO2排出量の低減など二つの項目についてKPIを掲げ、ESGへの取り組みを強化しています。また、SDGSの視点も含めて社会課題を解決しながら事業の成長を果たしていくとの考え方に基づき、社内でCSVのプロジェクトをスタートさせました。

CO2については、「2018中期経営計画」で排出量の削減目標を定め、環境負荷低減活動に取り組んでいます。しかし、2016年度は事業規模の拡大などに伴いCO2排出量が増え、一部の拠点では原単位が悪化してしまいました。CO2の削減については、日立化成は独自のカーボンマネジメントシステムを導入して社内の意識を高めてきましたが、積極的なグローバル展開のなかで私たちの方針が隅々にまで浸透させられなかったと反省しています。今後、原単位が悪化した拠点での対策を強化していきます。

2017年度は、すでに一部製品で実施しているLCAによる環境負荷低減の取り組みも進めます。LCAの対象製品を拡大し、バリューチェーン全体での環境負荷の把握・低減を図るとともに、中長期的にはグループ全体の取り組みに発展させたいと考えています。

コミュニケーションと論理思考でさらなる成長を
日立化成は、積極的にグローバル展開を進めてきたなか、多様な考え方を重視するようになりました。ダイバーシティは、多様な考え方をグループに取り入れる重要な経営戦略と考えています。

日立化成は、「対話と挑戦の文化」の構築をスローガンとしています。企業の成長を支える重要な成功要因はコミュニケーションの深化です。さまざまな考え方を持っている人々がぶつかり合い対話を重ねることにより、理解が深まり新しい価値が生まれます。それがないと会社は発展しません。技術系の出身ではなく、工場での勤務経験もない私が日立化成の経営を任される立場になったのも、ダイバーシティと言えるかもしれません。対話と、そこから発信される情報をロジカルに判断すること。対話により導き出された情報や結果は合理的か、皆で十分な議論を経て導き出されたか、そして世の中の基準や社会常識に照らして不合理ではないかで判断する。それが会社の方向性を誤らせることなく、さらなる成長をもたらす経営のツールだと信じています。

ダイバーシティの一環として、女性活躍の推進についても制度、環境、意識の側面からさまざまな施策を実施しています。これらの取り組みが評価され、2016年度は「女性活躍に優れた企業」として経済産業省と東京証券取引所による「なでしこ銘柄」に選ばれました。大変名誉なことですが、まだまだ課題は多々あります。2017年度も社内の意識改革を加速させ、女性の管理職候補の育成・輩出や活躍のための環境づくりに取り組み、名実ともに評価される企業に進化したいと考えています。

社外の視点を経営に取り込む
日立化成の取締役会では、「コーポレートガバナンス・コード」の適用を受け、2015年に「経営の基本方針」の見直しを行い、同年「日立化成コーポレートガバナンス・ガイドライン」を明文化しました。株主をはじめとするあらゆるステークホルダーの利益に資する経営を実践するため、ガイドラインに沿ってコーポレートガバナンスの強化に努めています。これにより、日立化成の企業価値の向上に資する議案が多数、取締役会で活発に議論されています。

2016年度は、独立社外取締役の増員によりガバナンス機能のいっそうの強化を図りました。常に多様な視点からの指摘を経営に反映できるよう国籍・性別など多様性に富んだ社外取締役の任用を進めています。また、独立社外取締役は監査委員として海外を含むグループ会社のすべてを監査し、詳細な指摘を行っています。2017年度の施策として、次期経営後継者候補の選定・育成プロセスの確立にも着手しています。

一方、コンプライアンスの徹底についてですが、当社ではコンデンサに関するカルテル案件が現在でも係属中であり、二度とこのような案件を発生させないためにグループ全体で徹底した再発防止策を展開しています。コンプライアンス問題が発生すると、金銭的な損失、ブランドの毀損などで最悪の場合事業の存続すら危ぶまれる状況に直面します。法令遵守徹底のシステムを確立させることはもとより、トップが率先して繰り返しコンプライアンスの重要性を伝えることも重要です。私は、四半期ごとに開催されるグループ環境・CSR会議や、さまざまなメッセージを発信するなかでコンプライアンスに関する注意喚起を行い、啓発に努めています。

期待を超える「驚き」を
私がステークホルダーの皆さまにお伝えしたいこと、それは「Working On Wonders」のひと言です。これは、日立化成グループ・ビジョンを短くまとめたフレーズであり、ステークホルダーの皆さまのために新たな価値を創造し、「WOW(驚き)」を実現するという私たち日立化成の宣言です。

日立化成の製品があったからこのような課題が解決できた、私たちの技術があったから不可能だったことができるようになった。今までできなかったことを日立化成が実現させることができた。そのような期待を超える「驚き」を社会に提供し続けていくこと、それが日立化成のビジョンです。これからも私たち自身が成長することにより、社会に新しい価値を提供していきます。

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