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社会性報告

お客さま・お取引先とともに

オープン・イノベーションの推進

今までの当社グループの研究開発部門では自前主義という傾向がありました。これまでも、日立グループや数多くの企業、国内外の大学、研究機関と連携を深めてきましたが、一方で、世の中はものすごい勢いで変化しています。そこで、他者に先駆けた新事業の創出のため、オープン・イノベーションという戦略的手法を積極的に活用します。具体的には、未上場成長企業への投資ファンドであるベンチャーキャピタルや、ニーズとシーズを企業間に紹介するビジネスマッチングなどの外部機関の力、資源を活用し、技術ライセンスの取得、M&Aや共同開発、相互販売などの業務提携を積極的に行い、事業化のスピードを加速していきます。

日立化成のオープンイノベーションの概要

材料技術力の強化

日立化成は、4つの源流製品開発で培われた有機・無機化学にまたがる深い材料ノウハウと、製品を進化させる過程で生み出された多彩な技術をボーダーレスに複合・融合させることで、価値を提供してきました。求められる機能を実現する「材料技術」、製品をムダ無く効率的に製造する「プロセス技術」、的確なデータ分析により次の一手を導き出す「評価技術」。これら3つの基盤技術を原動力に、技術革新型企業として社会に価値を提供しています。

グローバルな事業展開

海外市場、特に新興国市場の需要を獲得するため、日立化成は各地域で積極的な設備投資を行うとともに、現地の需要動向に即したマーケティング戦略の下、研究開発・製造・販売活動に取り組んでいます。その一環として、重点地域については、地域統括機能を有する現地法人を設立し、各地域における効率的な経営・事業運営体制の構築をめざしています。日立化成グループ・アイデンティティを踏まえて描いた、持続的な成長を実現するための10年戦略では、10年後のありたい姿を「高機能材料を基軸にデバイス/システム/サービスまでグローバルに事業を展開する化学を超えたイノベーション・プロバイダー企業」と定義しています。また、2018中期経営計画(2015〜2018年度)では、基本方針の一つとして、グローバル事業の強化を掲げ、ニッチ&クラスター型事業構造への変革により、グローバルトップシェア事業を育成するとともに、ベンチャー企業、お客さま、販社など事業を取り巻くステークホルダーと連携してオープン・イノベーションを推進することで、事業化の加速に取り組んでいきます。

ニッチ:利益率が高く、戦略的意義から規模が小さくても継続すべき事業
 
クラスター:個々の製品・事業を括り直し、グループ化することで、グローバルで勝つための戦略を共有できる事業グループ

地域統括機能の強化

日立化成は、各地域の市場の特質や変化に機動的に対応するため、重点地域における地域統括会社の設置を進めています。2011年4月、日立化成では初の海外での地域統括会社として中国に日立化成 (中国) 投資有限公司を設立し、中国に進出している連結子会社の事業運営一体化、ガバナンスの強化に取り組んでいます。その後も計画的に地域統括機能の検討を進め、2014年度には、タイで自動車部材、蓄電システムなどの事業を行っている連結子会社5社を統合し、Hitachi Chemical Asia (Thailand) Co., Ltd.を設立しました。また、米国で電子材料、自動車部材、診断薬の事業を行っている連結子会社4社の経営をHitachi Chemical Company America, Ltd.が統括することにし、両社とも2015年4月1日に発足しました。引き続き、市場成長が期待される重点地域において、顧客に近い拠点でビジネスチャンスを迅速に取り込むための体制を強化し、グローバル事業の拡大につなげていきます。

グローバル営業体制の強化

日立化成は、お客様のサプライチェーンのグローバル化への対応や、新市場への展開のため、海外グループ会社のリソースを活用しつつ、営業・マーケティング体制の強化に取り組んでいます。

2015年度は、各地域におけるお客様別の拡販体制をさらに強化するとともに、東南アジア地域の営業統括責任者に海外グループ会社のナショナルスタッフを登用する等の施策を行いました。

新事業創出

今後の市場変化を踏まえ、事業の成長・発展を可能にする新製品・新事業の創出を推進するため、2016年度は新事業本部から研究所とマーケティングセンタを改編し、イノベーション推進本部を新設しました。

新事業創出

@マーケティング機能の強化
新事業本部マーケティングセンタと事業部マーケティングセンタを統合、再編した「イノベーション推進センタ」を発足させ、新事業につながるテーマ探索専任グループを編成しました。

Aビジネスデザイン思考のテーマ設定
オープン・イノベーションを含む多角的な情報収集と潮流・市場分析と検証、各バリューチェーンの明確化などビジネスデザイン思考でのマーケティング活動を標準化し、新事業創出の加速と成功確率の向上をめざします。

Bオープン・イノベーションの積極活用
イノベーション推進センタにオープン・イノベーションを推進する企画部門を設置し、オープン・イノベーションにかかわる社内基金の運用、ベンチャーキャピタル情報、国内のビジネスマッチング情報の展開を推進します。

C新事業創生プロジェクト(Super-X)の推進
プロジェクト化による、経営層直下の研究開発マネジメントで、新事業創生強化・加速を推進しています。Super-Xプロジェクトは、2013年度より、マーケティングにより先取りした市場ニーズと、当社が保有する先端技術を融合させ、当社従来事業の延長線上にない大型新規事業を創出するプロジェクトです。

社会的ニーズに応えるためのビジネス・プログラム

日立化成グループは、10年戦略において、「クオリティオブライフの向上」と「サステナブル環境実現」の2つの社会的ニーズを、日立化成グループが実現する価値として定め、様々なプログラムを実施しています。
「クオリティオブライフの向上」については、患者様の負担を減らしてQOLの向上に貢献するため、がん免疫療法などの再生医療の拡大が期待されています。日立化成グループは、再生医療への進出を長期的な成長に向けた経営上の重要戦略と定め、グループ一体となって施策を進めています。その中で、日立化成グループがライフサイエンス事業で培ってきた製造管理・品質管理に関するノウハウや、半導体用材料事業を通じて得られたクリーンルーム内での製造技術と、新たにグループ会社となったPCT社の知見とを融合させることにより、再生医療という最先端の医療分野において、品質に優れ、高い安全性を持つ製品を製造する技術を確立し、患者様のクオリティオブライフの向上に貢献しています。2016年度は、再生医療用細胞の受託製造というプログラムについて、社会へ提供する価値を金額換算で評価しました。
「サステナブル環境実現」については、省エネの観点から自動車で発生するCO2をコントロールする動きや、使用材料における有害物質規制から環境に配慮した材料、石油や天然ガスなど化石燃料、金属類などの地下資源の減少などの問題から、エコカーの開発が求められています。日立化成グループは、環境対応自動車部材の製造を短期から長期にわたる経営上の重要戦略と定め、グループ一体となって施策を進めています。その中で、日立化成グループの、樹脂成形技術や銅の含有量を抑えた摩擦材(銅フリーブレーキパッド)の技術などは、お客さまが製品を使用する際の環境性能を大幅に向上させています。2016年度は、樹脂バックドアモジュール、銅フリーブレーキパッドについて、社会へ提供する価値の大きさを金額換算で評価しました。

2016年度に社会的価値の大きさを評価したプログラム
ニーズの
種類
グループレベル
の活動名
展開している国・
拠点数
評価した
プログラム名
対応する社会的ニーズ Outcome
(社会的価値)
定性
社会的
ニーズ
QOLの向上‐
再生医療への進出
全拠点(100%)
(QOLの向上は10戦略で掲げており、グループ全体の活動として展開していきます。)
再生医療用細胞の受託製造 患者様の負担を減らしてQOLの向上に貢献するため、がん免疫療法などの再生医療の拡大が期待されています。 がんによる生産人口減少による生産力の確保
がん免疫療法による医療費の削減
環境
ニーズ
サステナブル環境の向上‐
サステナブルエンジニアリングの推進
全拠点(100%)
(サステナブル環境向上は10戦略で掲げており、グループ全体の活動として展開していきます。)
環境対応自動車部材の製造 省エネの観点から自動車で発生するエネルギーをコントロールする動きや、使用材料における有害物質規制から環境に配慮した材料、石油や天然ガスなど化石資源の減少などの問題から、エコカーの開発が求められています。 樹脂バックドアモジュール:軽量化による省エネルギー
銅フリーブレーキパッド:摩擦粉中の銅飛散による水質汚染の防止

サステナブルエンジニアリングの推進(環境適合製品の供給)

日立化成は、地球環境への負荷低減を優先させる研究・開発への取り組み(サステナブルエンジニアリング)を推進しています。コアコンピタンス(基盤技術)を複合、融合させ、環境に優しい製品・技術を生み出すことで、気候変動問題をはじめとする地球規模の社会問題の解決をめざしています。

持続可能をかげで支える日立化成グループの取り組みのイメージ図

2015年度の取り組み

サステナブルエンジニアリングは、サステナブルビジネスの根幹を成す、日立化成の技術力の集積です。サステナブルエンジニアリングの中核となるのは事業のイノベーションです。基盤技術の複合・融合を通じて、研究・開発、製品の企画・設計段階において地球への影響・負荷を最小限とすることをめざしています。環境への配慮をはじめ、高い機能を持ち、コスト面でも優位性のある差別化製品を積極的に市場に投入し、競争が激化しているサステナブル技術分野における日立化成の市場ポジションを高めていきます。

サステナブルエンジニアリング全体の進捗状況は、環境適合製品の売上収益比率をKPIとしてモニタリングしています。環境適合製品の定義は日立グループ共通のもので、製品機能性、省資源性、再資源性、化学物質安全性、グリーンエネルギーケミストリー性、環境保全性、省エネルギー性および情報提供性からなる8つのカテゴリーを評価し、一定の基準をクリアしたものを認定しています。また、事業部門ごとに対象製品や技術についてKPIを設定し、その達成度を毎年「グループ環境・CSR会議」でフォローしています。

2015年度のサステナブルエンジニアリング製品(環境適合製品)売上収益比率は、98%となりました。昨年度より継続して新規登録を促進した結果、2015年度目標を達成することができました。2016年度から、環境に関する中期計画である環境行動計画に基づき、より高機能な製品を拡販し、資源使用量の削減に貢献する取組みをスタートさせます。

サステナブルエンジニアリング製品(環境適合製品)売上収益比率の実績(%)
2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
85 85 84 99 98

サステナブルエンジニアリング製品例

環境対応モビリティ・燃費改善機構用粉末冶金製品

売上高目標と実績(指数表記)

年々強化される自動車の環境規制に対応するため、自動車メーカー各社はエンジンの改良や電動化に注力しています。日立化成は、形状と材料の自由度が高い粉末冶金製法により、エンジン用をはじめとしたさまざまな粉末冶金製品を提供しています。写真の製品は、その一例です。エンジンの吸排気バルブの開閉タイミングを最適に可変させることで、排気ガスを低減し、燃費や出力の改善に貢献するもので高い評価を得ています。


売上高目標と実績(指数表記)

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