Hitachi Chemical

ニュースリリース

2016年12月26日
日立化成株式会社

4K、8Kテレビの広色域化を実現する量子ドットフィルムの量産・販売を開始-ナノシス社からの技術導入で開発スピードを加速し、早期の量産・販売を実現-

日立化成株式会社(本社:東京都千代田区、執行役社長:丸山 寿、以下、日立化成)は、液晶ディスプレイの広色域化*1を実現する光学フィルムとして、量子ドット*2フィルムの量産・販売を開始します。

日立化成は2015年12月より、量子ドットの最大手であるNanosys, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、President & CEO:Jason Hartlove、以下、ナノシス社)から、量子ドットを使ったフィルム化技術等の導入を行い、開発スピードを加速しました。ナノシス社の量子ドット技術と、日立化成独自の樹脂組成技術の融合により、技術開発から約1年という短期間での量子ドットフィルムの量産・販売開始となります。

*1
色域とは表すことができる色の範囲のことで、広色域化はその範囲を広げることを意味します。液晶ディスプレイが広色域化すると、より色鮮やかな画像を表示することができます。
*2
量子ドットとは半導体微結晶で構成される、数nm〜10数nm程度の粒子で、成分やサイズを制御することで、光の波長を自在に調整することが可能です。

近年、高精彩な画像(きめ細かい画像)を表示することができる4Kテレビの普及がめざましく、またより高精彩な8Kテレビの開発も進んでいます。4Kテレビの世界市場(台数)は2016年には約4,000万台に達し、2020年までに8,000万台以上に成長すると言われています*3。また2012年には4K、8Kテレビ等の高精細テレビ向けの新しい色域規格、BT.2020*4が国際電機通信連合(ITU)によって制定され、ディスプレイメーカー各社は、この規格に対応できる、より広色域のディスプレイの開発を進めています。しかし従来の液晶ディスプレイで広色域化を実現するためには、ディスプレイの色を作り出しているカラーフィルターをより色鮮やかなものに改良する必要があり、それに伴い液晶ディスプレイの表面輝度(明るさ)が低下する問題がありました。表面輝度が低下すると、バックライトをより明るくする必要があるため、液晶ディスプレイの消費電力が増えてしまいます。

*3
出典:「AV&IT機器世界需要動向〜2020年までの展望〜」(電子情報技術産業協会)
*4
これまでのハイビジョン(2K)テレビではBT.709という規格が採用されており、その色域は自然界に存在する物体の色の約7割にとどまりました。一方、BT.2020は、自然界に存在する物体の色のほぼ全てを表すことができる色域のため、BT.709よりも表現できる色の範囲が格段に広がっています。

そこで日立化成は、消費電力を増やすことなく、液晶ディスプレイの広色域化を実現する、量子ドットフィルムを開発し、このたびその量産体制を確立し、販売を開始します。量子ドットフィルムを用いることで、従来の液晶ディスプレイでは達成することが困難であった、BT.2020色域規格の90%以上を達成するという広色域化が可能となり、液晶ディスプレイでより色鮮やかな画像を表示できます。また、量子ドットフィルムは液晶ディスプレイの製造工程において、他の光学フィルムや基板等を積層するのと同時に組み込むことが可能なため、液晶ディスプレイメーカーで新たな設備の導入が必要ありません。

日立化成は、今後、テレビ市場のメインマーケットである中国、韓国等アジアを中心に量子ドットフィルムのシェア拡大を進めます。また、本製品を4K、8Kテレビ以外のディスプレイ、例えばスマートフォンやタブレット等のディスプレイ市場にも積極的に拡販し、グローバルシェアの拡大をめざします。日立化成は今後も、外部リソースの活用を通じ、協創を積極的に進めるオープンイノベーションを推進し、事業化の加速を図ります。

図:液晶ディスプレイの構造と量子ドットフィルムの使用例
図:液晶ディスプレイの構造と量子ドットフィルムの使用例

以上