開発ストーリー

ホーム開発ストーリー今までの断熱材にはない「撥水性」と「施工性」を追求

今までの断熱材にはない「撥水性」と「施工性」を追求

塗布式断熱材

開発のきっかけ

近年の省エネニーズの高まりを受け、断熱材は、さまざまな分野から注目を集め始めている。熱エネルギーを「断つ」にとどまらず、それを効率的に輸送・利用し、エネルギーの生産・消費ともに抑える技術開発が、発電、石油精製・化学プラント、自動車といった分野で喫緊の課題になっているのである。これまでもグラスウールや樹脂フォーム、ケイカルなどの断熱材が、住宅分野で多く使用されてきた。しかし、近年のニーズに対応するには、これまでより厳しい環境や、さまざまな形状に断熱材を使用できることが求められている。例えば、雨水、結露など水の影響を受けないこと、直線や平面でない複雑な形状の部分にまで断熱施工を行なう、といった断熱材にとっては、いずれも難易度の高い要求である。

従来の断熱材のように浸水で性能低下せず、加えて複雑な形状の部分にも施工することができれば、お客さまの課題を解決できるだろう、という思いをきっかけに、新たな断熱材の開発をスタートした。

技術の壁

開発者は、複雑な形状に断熱層を設けるには、現在のようにシート状の素材を貼るのではなく、塗る材料が最適だと考えた。しかし断熱塗料は、形成できる膜が薄く、断熱性と耐熱性が従来の断熱材より低く、お客さまを満足させるには至らない。そこで、断熱性と撥水性を付与できる多孔質粒子を断熱材のベース材料として樹脂に高充填し、粘度の高いペーストを開発することとした。しかし、この基礎設計が原因で開発者は早速困難に直面してしまったのである。

ベースの多孔質粒子は耐熱性、断熱性、そして撥水性に非常に優れる材料で、その性能は粒子中に存在する無数のナノオーダーの空孔によって発現している。多数の空孔のために非常に軽いこの粒子は、重量が軽すぎて樹脂に混ぜることが出来なかったのである。

試行錯誤を繰り返し、ペーストの試作品が完成した。しかし、その塗膜特性を確認した開発者は、再び頭を抱えることになる。この試作品で作った塗膜の性能は、期待した値を大きく下回っていたからである。断熱性と撥水性を発現するはずの粒子の小さな空孔を樹脂で埋めてしまったことが原因だった。

断熱性と撥水性を担保したペーストとするためには、多孔質粒子の高充填は避けられない。一方で高充填すると、樹脂への分散性が課題となる。実験と試作を繰り返したが、条件を見いだせない日が続いていった。

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