開発ストーリー

ホーム開発ストーリー機械油処理のお悩みに応えたい。カギは“表面積”!素材と形の合わせ技で、高い吸着性能を実現

機械油処理のお悩みに応えたい。
カギは“表面積”!素材と形の合わせ技で、高い吸着性能を実現

油吸着シート「油トルンディ」

開発のきっかけ

油を使用する製造現場で、その処理や清掃に効果を発揮する油吸着シート、それが「油トルンディ」だ。主たる素材は、ポリエチレン(以下、PE)樹脂の発泡体。これを不織布袋に包み、シート状に仕立てている。

現在、この油吸着シートは、機械油の吸着・処理用途で展開をおこなっているが、その開発のスタート地点は、石油採掘時に排出される油と土砂が混ざった水、随伴水の処理であった。油を含んだ排水が地下水に流れ込むことで生活用水が汚染することが問題になっており、水に混ざった油のみを高い精度で取り出し、安全な水として利用できる環境づくりが求められていた。
2015年、当社のグループ会社が、この随伴水処理装置の開発をしていたが、実用化まで至っていなかった。これを耳にした当社社員は、「日立化成で製造するPE発泡体を油の吸着材として利用すれば、この課題を解決ができるかもしれない」と考えた。グループ会社から案件を引き継ぎ、材料開発に着手した。

技術の壁

「随伴水に含まれる油分を99%以上除去すること」これがお客さまからの要求だった。当社の開発チームは、水に混ざった油分を選択的に吸着することを検証するため、随伴水を当社のPE発泡体にしみ込ませた。その結果、当社のPE発泡体には高いレベルの油吸着性能があることが確認できた。そして、より多くの油分を発泡体にしみ込ませるため、1cm角に発泡体をカットし、表面積を増やした。また随伴水に振動を与え、水をかき混ぜられることにより、発泡体へ油を積極的に吸着させる手法も見出すことができた。こうして随伴水の油分の除去率はみるみる向上していった。しかし、開発チームには達成感はなかった。お客さまの要望である「油分99%以上除去」の目標には、及ばなかったのである。その後約95%の油分除去を達成することができたが、ご要望には至らず、随伴水の油吸着材では一旦、材料開発を断念することとなった。
しかし、この案件を通して、開発チームは当社のPE発泡体の高い油吸着力が持つ可能性を再認識することができた。「この成果を生かして新たな用途で製品化を目指したい」そんな声がチームから上がり、開発は視点を変えて続けられることとなった。
そして、開発チームは、様々な油種を使用する金属加工の製造現場の油吸着・処理に着目をした。しかし、この分野でも、油の吸着性能を今までより向上させる必要があった。

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