開発ストーリー

ホーム開発ストーリー機械油処理のお悩みに応えたい。カギは“表面積”!素材と形の合わせ技で、高い吸着性能を実現

機械油処理のお悩みに応えたい。
カギは“表面積”!素材と形の合わせ技で、高い吸着性能を実現

油吸着シート「油トルンディ」

日立化成ならではの技術

この時点でのPE発泡体の油吸着性能は、発泡体自重の約10倍。より発泡体自身の油吸着性能を高める必要があった。PE発泡体へ油の吸着を促すためには、発泡体と油の接点である表面積が重要因子であることは、明らかだった。開発チームは、表面積を生み出すために、発泡体が含む気泡の空間を増やすことを試みた。空間量の異なるPE発泡体を比較し、最適なものを注意深く見極めた。20倍、25倍、30倍、40倍……発泡倍率が高く、気泡の空間が大きいものほど、吸着性能が高まることを確認した。その倍率の違いによる効果は、実験前の予想をはるかに上回った。
この結果を得たチームは、さらに吸着性能を上げるため、発泡体の構造に注目し、検討を進めた。当社のPE発泡体の特長として、隣接する気泡同士がつながっていない「独立気泡」と呼ばれる構造になっている。このため、発泡体の内部の存在する気泡は、油に触れることが無く、吸着には作用しないのである。内部の気泡を吸着に作用させるには、「連続気泡」と呼ばれる気泡同士がつながった形状に変更することが考えられた。しかし、連続気泡の発泡体をつくるノウハウが当社には少なく、実現には時間を要することが予想された。「もっと手軽に実現する方法はないだろうか。」チームメンバーが試行錯誤を繰り返すなか、「発泡体を粉砕する」というアイディアが生まれた。随伴水の取り組みの時のように1cm角でなく、より細かく刻んで、内部の気泡を露出させ、表面積を増やすというという手法である。
早速メンバーは、発泡体を粉砕する試作に取り掛かった。様々な粉砕条件を最適化することで、予想どおり油の吸着性能を向上することに成功した。
そして、粉々に粉砕したPEフォームを薄手の不織布袋で包み、シート状に仕立げた。

こうして2019年、ついに自重の約20倍という高い油吸着性能を持つ「油トルンディ」が完成した。少量の吸油シートで多くの油を吸い取ることができ、吸油シートの使用量や交換頻度の削減に寄与できることが期待できる。
さらに、油を吸着した「油トルンディ」を搾ることで、油は回収、リサイクルできると共に、「油トルンディ」自体も20回以上の再利用が可能だ。素材が柔らかく、250mm四方と従来材よりコンパクトなので、機械と床の間やクーラント内などの狭い箇所にも設置しやすいつくりとなっている。

今後の展開

現在、「油トルンディ」についてはお取引先さまにサンプルを配布し、高い評価を頂いている。油の吸着性能にはご満足頂きながら、「長方形の大きめサイズがあれば」「もう少し薄手のほうが使いやすい」など、使用感に関して具体的なご意見をいただくなかで、お客さまの用途や環境、機械の種類などによって使いやすい形状が異なることを再認識している。当社ではそうした細かいニーズに可能なかぎりお応えすべく、形状のバリエーションを増やし、カスタマイズについてもお受けできるよう検討を重ねている。
また、吸着した油を絞った後、再利用できることが「油トルンディ」の強みだが、その油を自動で絞るための機器についても強いご要望の声をいただいており、これについても現在、具体的に開発を進めている。今後も開発チームでは、油分の吸着・処理でお悩みの多くのお客さまに最適な形で「油トルンディ」を活用していただけるよう、本格的な実用化へ向けてブラッシュアップを続けていく計画だ。

油吸着シート「油トルンディ」のソリューション

工作機械からしみ出る油を吸着し、再利用も可能に!
絞って繰り返し使える油吸着シート

油トルンディ

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