開発ストーリー

ホーム開発ストーリー“5G”時代に向けた絶縁材料 伝送損失を下げられたカギは?

“5G”時代に向けた絶縁材料
伝送損失を下げられたカギは?

低誘電感光性樹脂

日立化成ならではの技術

誘電特性や感光性能の悪化要因を探っていく中で、樹脂中の不純物濃度が高いことが悪影響を与えている、ということを開発チームは明らかにした。不純物を取り除き、樹脂の純度を高めるため精製工程の確立にチームは全力で取り組む。樹脂の精製は、樹脂が水と分離するという性質を生かし、合成した樹脂を水に入れて撹拌し、溶出する不純物を水分とともに取り除くことを繰り返して純度を高めていくことが一般的だ。しかし、今回の樹脂は誘電特性に優れる構造ゆえに、水と分離せずに交じり合う性質を持っており、通常の精製方法では不純物を取り除くことができない。開発者は水以外のものを使用したり、撹拌速度を変えたりと、条件を細かく様々に変更して精製方法を模索した。ただひたすらに樹脂の精製方法を突き詰める作業は、1年近くも続いた。
ある日、実験室でいつものように実験を行なっていた開発者は、樹脂を精製しているフラスコの中に小さな油膜のようなものを見つける。それは水から僅かに分離した低誘電感光性樹脂の粒だった。ようやく手掛かりを得た瞬間だった。開発者は偶然顕れたその僅かな樹脂分離の要因を探るとともに、分離の規模を大きく、またそれが再現する条件を実験と観察を繰り返した。この実験から得られた膨大なデータの結果、不純物の極めて少ない樹脂を得る精製方法を確立した。
当社の新たな製法で生まれ変わった低誘電感光性樹脂は、比誘電率2.4、誘電正接0.0018を達成し、当初の製法よりも、より高い誘電特性の実現に成功した。またフォトリソグラフィでL/S=5µm/5µmの微細な絶縁パターン形成に成功した。
本樹脂の開発チームメンバーは、社外で開発された技術を使いこなす難しさとともに、その成功要因をこう語る。「精製方法を検討しているとき、フラスコの中の小さな違いを見逃さなかった。この僅かな差に気づく観察力と、お客さまに価値あるものを届けたいという思いがこの低誘電感光性樹脂を実現した」

今後の展開

開発された低誘電感光性樹脂を、次世代通信に向けたセンサーを開発するお客さまに提案する機会に恵まれた。この樹脂が持つ感光性能と誘電特性に高い関心を持っていただき、現在数十GHzという非常に高い周波数帯を使う次世代センサーに適用検討が進められている。
また、今後は様々な5Gアプリケーションに役立てられることを期待して、ガラス転移温度の向上や難燃性付与などの機能向上を図り、配線板材料や半導体封止材向けに製品開発を進めるなど、さらなる研究を続けていく計画だ。

低誘電感光性樹脂のソリューション

低誘電・低吸水特性が、伝送損失を抑える!
感度の高いセンサーを実現する絶縁材料

低誘電感光性樹脂

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